涼しい10月秋の満月の夜。久しぶりに文章を書こうと思った。
徒然なるままに。

ちょっと風情のあるようなことを書いてみたが、実際のわたしの目の調子がすこぶる良くない。
2歳のうぎが8日前にアデノウイルス結膜炎を発症し、その後次々と我ら同居者に感染。
夫を除いた家族4人強い感染力のあるウイルスに全滅だ。

わたしは生まれて36年、目の病気というものになったことがなかった。
視力もバツグンに良いので眼科とは無縁だったわたしに突然悲劇が起きた。
結膜炎とは恐ろしいものだ。

まずは目がごろごろしている。
そして目やにがじわじわと出てくる。
致命的なのは涙がボロボロ出ることでまぶたが泣き腫らした状態になり、たいそう辛いことがあったかのようなお顔になっている。
そして日が経つごとに痛みが増してくる。まばたきをすればスイッチが入るように涙がぼろんと落ち、パソコン作業は目が乾いて刺激になるのか余計に痛い。

そういえば、人間は涙が出るから悲しいと感じたり笑顔を作っていれば楽しいと感じたりするとの話をどこかで聞いたが、実際のところは信じ難い。
だって、接客で無理に笑って接客していても、のちに疲労が溜まって家では無表情で魂が抜けるし、現在ボロボロ涙をこぼしているが悲しみという感情は全くない。
辛い状況ではあるが、悲しみと辛さを感じる脳の場所は一緒なのだろうか。

歯科衛生士の仕事を辞めたくなってきた

我が家の夫を除く4人が全滅したのは今月のみならず、先月もコロナ感染が原因で引きこもっていた。
子育て経験のある方や周囲にそのような人がいれば話を聞くかと思うが、1歳から4歳ぐらいは色々な病気を驚くほど発症する。
子どもの数だけ次々と未知なる病気やアレルギー反応をわたしに見させてくれる。
そして誰かがウイルスを持ち帰れば、2歳のちびっこモンスターの手によって感染が広がるのだ。

そんな状況のため、仕事を休むことが多々あった。
昨今の少子化対策によって、職場の子育てに対する理解と就業時間短縮などの改善はみられるものの、実際に有給休暇を取って休んだ時の気まずさは変わらない。
子どもの感染症によって2週間ほどの休暇であれば介護休業給付金の申請ができるようだが、コロナやインフルエンザだとせいぜい1週間程度で回復するため使用できない。

子どもの病気に加え、土曜日はなにかと子どもの保育園や学校のイベントがあるため、9月で今年分の有給休暇を使い切ってしまった。
しかし、わたしには去年分の有給休暇が残っている。
その考えが頭の片隅にあったので嫌な顔されるのを覚悟で院長に「今回の休みを去年分の有給休暇で消化してほしい」とLINEすると「僕にも思うことがあるので体調が治り次第直接話をしましょう」と2日後に返事があった。

子どもの病欠による有給休暇の利用は悪か

あの返事の言いたいことは「NO!」だろう。
理由は分かっている。

  1. 他のスタッフが有給休暇を消化していないし、されると困るから
  2. 固定給だが時給換算にすると平均時給をかなり上回っていて、一般的な衛生士の時給と見合っていない
  3. 先月も含めて今月も仕事を休んでこちらに迷惑をかけているのに、図々しい
  4. 出勤時間もギリギリだったり、懇談のためお昼少し遅れたり抜けたりすることへの不満

といったところだろうか。

気持ちは分かる。
夫も飲食店の雇われ店長でシフトの管理や人件費に悩むし、急に休まれても困る。と話していた。

しかし、子どもが小さいながらも働く親の多くは生活費を稼ぐためや、キャリアを途切らせないために必死に働いている。
よく聞く「子育てが落ち着いたから働こう」というゆとりのある働き方ではない。
0歳児から2歳児クラスの園児の親は結構ガチで働いている。

実際に病気になりやすいのはこの時期にも関わらず、保育料がかかるし、有給休暇なんてあっという間に消化されて給与が天引きされる。
病気の看病のために給料が下がって保育料もかかっていたら、なんのために仕事をしているのかわからない。

もしわたしが政治家になったら「小学生以下の子育て世帯の病気による休みは国から補助金を出す」政策を打ち出そう。

固定給とボーナスで労働者を縛って操る雇用主

毎月決まった金額で与えられる安心できる給与と、半月に1度の心が踊るような賞与。
給料やボーナスがいいから嫌な仕事でも辞めることができない人も多いだろう。


去年までわたしは時給で有給休暇もなし、ボーナスもなしで働いていたのだが「もうこんなのイヤだから他院で働く」と話をしたところ、現在の固定給と有給休暇までこぎつけた。

実際に固定給にして有給休暇が使えるようになり、心の安定と給与が10万以上アップしたのでルンルンだったのだが、急にお盆やお正月は有休扱いと言い出したり、子どもが休むと連絡しても返事がなかったりと、少しずつ状況が変わってきた。

これだけ支払っているのだから長時間働いて当然と言わんばかりだ。
しかし、わたしが就職してから16年の月日が経ち、物価や平均賃金も大きく変わった。
何よりわたしには愛する子どもがいる。

お金を優先して自分や家族を縛っていいのだろか。

歯科衛生士の平均賃金について

わたしはたまに歯科衛生士の平均賃金をチェックする。
おそらく、これから求人を出す医院やこれから仕事を探す人もそうだろう。
そして衛生士の中には自分に自信がないからと、平均程度がその下の金額で募集をかけている職場を決めている人が多い。
給与が高いクリニックは、仕事が忙しい。人間関係が悪い。自費治療を勧めるよう強制される。などの疑いもあるからだ。
個人経営の多い歯科医院はいわば城みたいなもので、その城に入ってみなければ王の性格はわからないし、実際の治療内容もわからない。

しかし、よく考えてみたらそれっておかしい。
歯科衛生士はどこも人手不足と言われているのだから、需要と供給のバランスを考えるとすでにわたしたちには価値があるのだ。
王と兵隊ではなく、Win-Wnの関係、そして同等の立場で働くべきではないか。

すなわち、わたしたちはもっと賃金を上げられる。自分の価値を自分で決めるべきだ。

人手不足の医院ほど、高い給料で雇用条件を改善すべきなのだ。
わたしは今回有給休暇を使って、時給2800円程度になっていたが別に高いとは思わない。
それ以上の価値をわたしは提供している。
空気を読んで行動し、患者さんやスタッフと良い関係を築けるよう心がけ、何より仕事を辞めない。
こんな小さなことだけど、労働者に必要なものはそういうものだと思う。

歯科衛生士の仕事は好きだけど、1回離れてもいいかも

気づけば日が昇って、結膜炎なりたての次男が起きてきた。
涙をぼろぼろ流しながらキーボードを叩く母のそばに座って、ディスプレイを見つめている。
彼は今、何を感じているのだろうか。

仕事を休んで1週間以上経つが、今まで感じていた仕事を休むことによる申し訳なさよりも、家族とゆっくり過ごせる幸福感の方が勝ってきた。

お兄ちゃんたちは小学生になった頃から、少しの体調不良なら家に置いて出勤していた。
それが仕事をする人間にとって正しいと思っていたから。

でも、本当にそうだろうか、
お金より勝るものはあるのか。

今年、かなり貯金を頑張った。
自分の人生について、家族について考えても良いかもしれない。